$\mathbb{R}^T$の位相の定義より,全ての$x \in \mathbb{R}^T$は
$$
x = \sum_{t \in T} x(t)\delta_{t}
$$と級数展開できるから,$f$の線形性と連続性より
$$
f(x) = \sum_{t \in T} x(t)f(\delta_t) = \sum_{i \in I} c_i x(t_i)
$$となる.(Q.E.D.)

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$t \in T \setminus \{ t_i; i \in I \}$のとき$f(\delta_t) = 0$となることを確かめよう.このとき,全ての$\lambda \in \mathbb{R}$について
$$
\lambda \delta_t \in \bigcap_{i \in I} \operatorname{pr}_{t_i}^{-1}(B_i) \subset f^{-1}(\mathopen{]}-1,1 \mathclose{[})
$$が成り立つ.よって$f$の線形性より全ての$\lambda \in \mathbb{R}$について
$-1 < \lambda f(\delta_t) < 1$となるが,このような実数$f(\delta_t)$は$0$に限る.

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(証明)
$\operatorname{pr}_t \colon \mathbb{R}^T \to \mathbb{R}$を標準的な射影とする.$f$の連続性と直積位相の定義より,有限個の$(t_i) \in T^I$と$\mathbb{R}$の開球族$(B_i)_{i \in I}$で,
$$
\bigcap_{i \in I} \operatorname{pr}_{t_i}^{-1}(B_i) \subset f^{-1}(\mathopen{]}-1,1 \mathclose{[})
$$を満たすものが存在する.$\delta_t \in \mathbb{R}^T$を
$$
\delta_t(s)
= \begin{cases}
1 & s = t \\
0 & s \neq t
\end{cases}
$$と定義し,
$$
c_i = f(\delta_{t_i})
$$と定める.

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【 直積位相線形空間の双対】

$T$を集合とし,$\mathbb{R}^T$を直積位相により局所凸空間と考える.このとき,$\mathbb{R}^T$の位相的双対空間を調べたい.

[命題]
$f \colon \mathbb{R}^T \to \mathbb{R}$を連続線形写像とする.このとき,有限集合$I \subset \mathbb{N}$と$(c_i) \in \mathbb{R}^I$,$(t_i) \in T^I$で,
$$
f(x) = \sum_{i \in I} c_i x(t_i) \qquad x \in \mathbb{R}^T
$$を満たすものが存在する.

《平行移動の絶対連続性》
$h \in X$に対して,平行移動作用素$\tau_h \colon X \to X$を$\tau_h(x) = x + h$により定める.

[定理]
$x \in H(\gamma)$ならば,平行移動した測度$(\tau_h)_* \gamma$は元のGauss測度$\gamma$と同値である.$v_\gamma(x^*) = x$と表せば,そのRadon-Nikodym導関数は
$$\frac{\mathrm{d}(\tau_h)_* \gamma}{\mathrm{d}\gamma}(x) = \exp \left( x^*(x) - \frac{1}{2} \lVert x \rVert^2_{H(\gamma)} \right)$$で与えられる.

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Cameron-Martin空間$X^*_\gamma$は次のように特徴づけられる.

[命題]
分散関数$v_\gamma$を,標準的な同型により$\operatorname{Hom}_{\mathbb{R}}(X^*,(X^*)^\vee)$の元と考える.(ただし,$E^{\vee}$は線形空間$E$の代数的双対を表す.)このとき,$H(\gamma) \subset v_\gamma(X^*_\gamma)$が成り立つ.さらに,$x = v_\gamma x^*$ならば$\lVert x \rVert_{H(\gamma)} = \lVert x^* \rVert_{L^2(\gamma)}$となる.

[系]
$v_\gamma(X^*_\gamma) \subset X$なら$v_\gamma(X^*_\gamma) = H(\gamma)$であり,$v_\gamma \colon X^*_\gamma \to H(\gamma)$は等長な同型写像となる.特に,Cameron-Martin空間$H(\gamma)$はHilbert空間の構造をもつ.

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$x \in X$に対して,
$$\lVert x \rVert_{H(\gamma)} = \sup \{ \langle x^*,x \rangle \mid x^* \in X^*, v_\gamma(x^*,x^*) \leq 1 \}$$とおき,
$$ H(\gamma) = \{ x \in X \mid \lVert x \rVert_{H(\gamma)} < \infty \}$$と定義する.このように定義された空間$H(\gamma)$をCameron-Martin空間と呼ぶ.

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《Cameron-Martin空間》
Gauss測度$\gamma$に対して,
$$X^*_\gamma = \operatorname{Cl}_{L^2(\gamma)} \{ f-m_\gamma(f) \} \subset L^2(\gamma)$$と定義する.このとき,$X^*_\gamma$の元はどれも中心化Gauss型確率変数となっている.$X^*_\gamma$は$L^2(\gamma)$の閉部分空間だから,$L^2(\gamma)$の内積の制限によりHilbert空間となる.これを$\gamma$の再生核Hilbert空間と呼ぶ.

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このとき,積分の線形性より$m_\gamma \colon X^* \to \mathbb{R}$は線形写像であり,また$v_{\gamma} \colon X^* \times X^* \to \mathbb{R}$は双線形写像となる.$m_{\gamma}$を$\gamma$の平均と呼び,$v_{\gamma}$を$\gamma$の共分散と呼ぶ.

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《Gauss測度の平均と分散》
$\gamma$を局所凸空間$X$上のGauss測度とする.
このとき,$X^* \subset L^2(\gamma)$である.実際,$f \in X^*$とすれば,$f_*\gamma$がGauss測度であることから
$$\int_X \lvert f(x) \rvert^2 \gamma(\mathrm{d}x) = \int_{\mathbb{R}} \lvert y \rvert^2 f_* \gamma(\mathrm{d}y) < \infty$$が成り立つ.そこで,
$$m_\gamma(f)= \int_X f \mathrm{d}\gamma \qquad f \in X^*$$および
$$v_{\gamma}(f,g) = \int_X (f-m_{\gamma}(f))(g-m_{\gamma}(g)) \mathrm{d}\gamma$$と定義する.

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【Gauss測度とCameron-Martin空間】

《局所凸空間上のGauss測度》
$X$を局所凸空間とし,$X^*$をその位相的双対空間とする.$\sigma(X^*)$上の確率測度$\gamma$で,全ての$f \in X^*$について像測度$f_* \gamma$が$\mathbb{R}$上のGauss測度となるようなものを,$X$上のGauss測度と呼ぶ.

$I$が1点集合の場合には$R[(X_i)_{i \in I}]$を特に$R[X]$と書く.この場合$R[X]$は自由加群$R^{(\mathbb{N})}$上の積を$\varepsilon_k \varepsilon_l = \varepsilon_{k + l}$によって定めたものであり,もっとすっきりと記述できる.

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$R[(X_i)_{i \in I}]$上の積の定義より
\[
X^{\nu} = \varepsilon_{\sum_{i \in I} \nu_i \delta_i}
\]
となることに注意しておく.この表現より,$(X^{\nu})_{\nu \in M}$は自由加群$R[(X_i)_{i \in I}]$の基底を成すことがわかる.したがって,任意の$a \in R[(X_i)_{i \in I}]$は
\[
a = \sum_{\nu \in M} a_{\nu} X^{\nu}
\]
のように一意的に表現される.

先ほどの表現において
特に$I$が有限集合$\{ 1,\dots,m \}$のときは,
\[
a = \sum_{\nu \in \mathbb{N}^{m}} a_{\nu} X_1^{\nu_1} \dots X_m^{\nu_m}
\]
となり,これは$R$係数の$m$変数多項式(だと普段我々が思っている文字列)に等しい.このことから,$R[(X_i)_{i \in I}]$を多項式代数と呼ぶことが正当化してもよさそうだとわかる.

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以上の手続きで$R[(X_i)_{i \in I}] = A$上に$R$代数の構造が定められた.しかしこの構造は本当に多項式と呼べるようなものだろうか.このことについて考えてみる.$R[(X_i)_{i \in I}]$の元を「多項式的」に表現するために,変数同士の掛け算を考えてみる.$\nu = (\nu_i)_{i \in I} \in \mathbb{N}^{(I)}$に対して,
\[
X^{\nu} = \prod_{i \in I} X^{\nu_i}_i
\]
と定義する.この式において$X_i^{\nu_i}$は先ほど定義した式積の意味で$X_i$を$\nu_i$回掛けたものである.また
\[
\lvert \nu \rvert = \sum_{i \in I} \nu_i
\]
と定義する.$X^{\nu}$のことを$R$上の単項式といい,$\lvert \nu \rvert$をこの単項式の次数と呼ぶ.

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まずは$A$の最も基本的な元である$\varepsilon_m$たちに対して積を定義する.$m,n \in M = \mathbb{N}^{(I)}$に対して,
\[
\varepsilon_m \varepsilon_n = \varepsilon_{m+n}
\]
と定めよう.この対応により,$A = R^{(M)}$上の双線形な2項演算が一意的に定まる.具体的には積は次のような表現される.$A$は自由加群であるから,任意の$a,b \in A$は
\[
a = \sum_{m \in M} a_m \varepsilon_m, \qquad
b = \sum_{n \in M} b_n \varepsilon_n
\]
という形の(一意的な)表現を持つ.このような$a$と$b$の積は
\[
ab = \sum_{m \in M} \sum_{n+l=m} a_n b_l \varepsilon_m
\]
となる.

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ざっくりとした言い方をすると,$X_i$は添え字$i$を代数的に自然な方法で$A = R^{(N)}$に埋め込んだものである.なので,これを多項式の第$i$変数と見なすことにする.このように定めた変数の族$(X_i)_{i \in I}$を用いて,$A = R[(X_i)_{i \in I}]$と書くことにする.$R[(X_i)_{i \in I}]$の元を,変数$(X_i)_{i \in I}$をもつ$R$係数多項式と呼ぶことにする.

先に多項式の空間を用意してみたものの,これが本当に多項式と呼ばれるべきものかはまだわからない.$R[(X_i)_{i \in I}]$にうまい代数構造を入れる必要がある.

一旦変数の話は忘れて,$A = R^{(M)}$に演算を定めることを試みよう.$R$は自然に$R$加群と見なせるから,$A = R^{(M)}$は各点ごとの和とスカラー倍により加群の構造を持つ.これを自由加群と呼ぶのであった.したがって,$A$上に足りていない2項演算は双線形な2項演算「積」だけである.

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次に,写像$\varepsilon \colon M \to R$を同様に
\[
\varepsilon_m(n) =
\begin{cases}
1 & n = m \\
0 & n \neq m
\end{cases}
\]
と定義する.このときやはり$\varepsilon_m \in R^{(M)}$である.

そこで,$i \in I$に対して$X_i = \varepsilon_{\delta_i}$と定義する.定義より
\[
X_i(n) =
\begin{cases}
1 & n = \delta_i \\
0 & n \neq \delta_i
\end{cases}
\]
となる.

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次に,$M = \mathbb{N}^{(I)}$とし,集合$A$を$A = R^{(M)}$により定義する.すなわち,
\[
A =
\{ f \colon M \to \mathbb{N} \mid \text{有限個の$m$を除いて$f(m) = 0$} \}
\]
である.この集合$A$に代数構造を定め,これを多項式代数と呼びたい.

まずは,多項式の変数$X_i$を定義する必要がある.そのために写像$\delta_{i} \colon I \to \mathbb{N}$を
\[
\delta_i(j) =
\begin{cases}
1 & j = i \\
0 & j \neq i
\end{cases}
\]
と定義する.このとき$\delta_i$は$\mathbb{N}^{(I)}$の元となる.

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【多項式代数の定義】
多項式が何なのかいつもわからなくなるのでメモ.導入方法はBourbakiにしたがう.

$R$を可換環とする.$R$係数多項式の成す$R$代数$R[(X_i)_{i \in I}]$を以下のように構成する.

まずは,$\mathbb{N}^{(I)}$を自由可換モノイドとする.すなわち,$\mathbb{N}$は集合としては以下のようなものである.
\[
\{ a \colon I \to \mathbb{N} \mid \text{有限個の$i$を除いて$a(i) = 0$} \}
\]
このとき$\mathbb{N}^{(I)}$は各点ごとの和について可換モノイドをなすのであった.これを自由可換モノイドと呼ぶ.

以前測度のアトムについて書いた証明が間違えていたので消しました。今度修正したものを書きます。

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