適当な設定のもとで、テンソル積は右完全だが完全ではない。$$
0\to A\to B\to C\to 0
$$が完全($B/A\cong C$)であるとき$$
M\otimes_R A\to M\otimes_R B \to M\otimes_R C\to 0
$$は完全, すなわち$$
(M\otimes_R B)/(\operatorname{Im}:M\otimes_R A\to M\otimes_R B) \\ \cong M\otimes_R C
$$は一般に成立するが、$$
M\otimes_R A\to M\otimes_R B
$$は単射になるとは限らず、非自明なkernelが出て来るかもしれない。

こういう状況はホモロジー代数の出発点です。

上の状況は $M\otimes_R(\;\;)$ というfunctorについては、それだけを考えることは数学的に不十分であることを示唆しており、実際にそうで、 $M\otimes_R(\;\;)$ だけでは失われる情報を復活させる $\operatorname{Tor}^R_i(M,\;\;)$ という函手達が構成~続く

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続き~されています。$\operatorname{Tor}^R_0(M,\;\;)=M\otimes_R(\;\;)$ となっています。

この手の話題で基本的なのはlong exact sequenceです。
$$
0 \leftarrow C \leftarrow B \leftarrow A \leftarrow 0
$$がexactのとき、次のexact sequenceが得られる:$$
\begin{aligned}
0 &
\leftarrow M\otimes_R C
\leftarrow M\otimes_R B
\leftarrow M\otimes_R A
\\ &
\leftarrow \operatorname{Tor}^R_1(M,C)
\leftarrow \operatorname{Tor}^R_1(M,B)
\leftarrow \operatorname{Tor}^R_1(M,A)
\\ &
\leftarrow \operatorname{Tor}^R_2(M,C)
\leftarrow \cdots
\end{aligned}
$$

続く

続き。特に$$
\operatorname{Ker}(M\otimes_R B\leftarrow M\otimes_R A)\\
\cong
\operatorname{Im}(M\otimes_R A\leftarrow\operatorname{Tor}^R_1(M,C))
$$となっている。

要するに、テンソル積によって単射が単射でなくなることによって出てくる非自明なkernelに関する分析は、テンソル積の拡張である $\operatorname{Tor}$ の理論として大幅にかつ徹底的に拡張されているということです。

さらに、より一般の函手によって失われた数学的に重要な情報を補完する導来函手の理論がホモロジー代数の名の下でよく整備されています。

そういう方向の抽象化は幾らでもすすめることができるので、自分に必要なレベルの抽象化を学べばよいと思います。適当な所で手を打たないと大変なことになる。😱

基本的なアイデアは「⊗やHomに代表される頻出の函手達はexactではなくて数学的に重要な情報を捨て去ってしまう」という問題の解決です。

個人的な意見では、以上のような話について、単に「抽象的ですごそうだから」という理由で興味を持ってしまうと、理解に至り難い経路に迷いこんでしまう可能性が高いので危険だと思います。よくできる学部生がよく迷い込んでいる。😅

最低でも長完全列のありがたみがわかるような具体的な状況を知ってから先に進むべきだと思います。

@genkuroki もともと余代数の剰余で気になった部分でして、テンソルした後の核がどうなるかという疑問でした。

余代数は具体例がいっぱいあって、特に小さい圏から定義される余代数の双対代数にメビウス函数が定義できるので、今はその計算をしてみようかなと考えているところです。剰余に落としこめるのか気になってます。

なのであまり余代数の一般論に立ち入れてないのですが、余代数は加群なので、そのホモロジー代数から情報が得られるとかいう話はいかにもありそうです。能力不足でこういった話がスイスイ入ってこないのが歯がゆいですが。

一応まとめた記事を作ってます。
mathdala.netlify.com/Notes/Quo
mathdala.netlify.com/Notes/Inc
mathdala.netlify.com/Notes/Mob

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