$n\to\infty$ で $$
\frac{s(s+1)\cdots(s+n-1)}{n!}
\sim\frac{n^{s-1}}{\Gamma(s)}.
$$たとえば $s=1/2$ のとき、$$
\text{(左辺)}=\binom{2n}{n}\frac1{2^{2n}},\\
\Gamma(1/2)=\sqrt{\pi}
$$なので$$
\binom{2n}{n}\frac1{2^{2n}}\sim\frac1{\sqrt{\pi n}}
$$これはWallisの公式と呼ばれている。

最初の公式は、$n\to\infty$ で$$
\frac{n^s n!}{s(s+1)\cdots(s+n)}\to\Gamma(s)
$$と同値。さらに左辺の分子分母に $\Gamma(s)$ をかけて、ベータ函数に変換すると、次のように書き直される:$n\to\infty$ で$$
n^s B(s,n+1)\to\Gamma(s).
$$証明に続く

$n^s B(s,n+1)\to\Gamma(s)$ の証明

積分変数を $x=y/n$ と置換して、$n\to\infty$ の極限を取ると、
\begin{align*}
&n^s B(s,n+1)\\
&=n^s\int_0^1x^{s-1}(1-x)^n\,dx\\
&=n^s\int_0^n \frac{y^{s-1}}{n^{s-1}}\left(1-\frac{y}{n}\right)^n\frac{dy}{n}\\
&=\int_0^n y^{s-1}\left(1-\frac{y}{n}\right)^n\,dy\\
&\to\int_0^\infty y^{s-1}e^{-y}\,dy\\
&=\Gamma(s).
\end{align*}
たったこれだけの計算でWallisの公式の一般化であるガンマ函数の無限積表示が得られる。

高校では、無限区間の積分や二重の定積分を扱わないが、それらに対応できれば、形式的な計算レベルで高校レベルの難易度の計算でガンマ函数の無限積表示を出せる。

Follow

$$
\int_0^\infty x^{s-1}\sin x\,dx\\
=\sin\left(\frac{\pi s}{2}\right)
\Gamma(s).
$$たとえば $s=1/2$ のとき$$
\int_0^\infty \frac{\sin x}{\sqrt{x}}\,dx
=\sqrt{\frac{\pi}{2}}.
$$たとえば $s\to0$ の極限を取ることによって$$
\int_0^\infty \frac{\sin x}{x}\,dx=\frac\pi2.
$$右辺の極限の計算で$$
\sin\left(\frac{\pi s}{2}\right)\Gamma(s)\qquad\\
=\frac{\sin(\pi s/2)}s{\Gamma(s+1)}
$$を使った。

例として紹介した公式はよく教科書に載っているが、またしても、「ガンマ函数・ベータ函数ワールド」の風景の一部分を切り取って見ていたに過ぎないことがわかる。

パラメーターの数が増えたより一般的な公式の方が周囲の風景も見えるおかげで易しく見えることが多い。

· · Web · 0 · 0 · 2

補足:$$
\int_0^\infty x^{s-1}e^{ix}\,dx
=e^{\pi i s/2}\Gamma(s).
$$この公式は$$
\Gamma(s)=\int_0^\infty z^{s-1}e^{-z}\,dz
$$で $z=-ix=e^{-\pi i/2}x$ と置いて、成分経路を90度回転させれば得られる。そのような計算の正当化はCauchyの積分定理による。

まとめ:以下の公式はガンマ函数やベータ函数に関するもっと一般的な公式の一部分を切り取って来たものに過ぎない。

公式$$
\sum_{n=0}^\infty\binom{2n}{n}\frac{2^{-2n}}{2n+1}=\frac\pi2
$$Wallisの公式$$
\binom{2n}n2^{-2n}\sim\frac1{\sqrt{\pi n}}.
$$Dirichlet積分$$
\int_0^\infty \frac{\sin x}x\,dx=\frac\pi2.
$$Fresnel積分$$
\int_{-\infty}^\infty\sin x^2\,dx\qquad\;\;\\
=\int_0^\infty\frac{\sin y}{\sqrt{y}}\,dy
=\sqrt{\frac\pi 2}
$$

返答連鎖で繋がっていないものを追加
mathtod.online/@genkuroki/1333

まとめの続き

より一般的な公式は\begin{align*}
&\sum_{n=0}^\infty\binom{2n}{n}\frac{2^{-2n}}{n+s}=B(s,1/2),\\[2ex]
&\lim_{n\to\infty}\frac{n^s n!}{\prod_{k=0}^n(s+k)}\\[1ex]
&=\lim_{n\to\infty}n^s B(s,n+1)=\Gamma(s),\\[2ex]
&\int_0^\infty x^{s-1} e^{ix}\,dx = e^{\pi is/2}\Gamma(s).
\end{align*}こちらの一般的な公式の方が特殊化された場合の公式より易しい。

mathtod.online/@genkuroki/1337

訂正:このスレッドの上の方で「成分経路」となっているが、正しくは「積分経路」です。

少し上の方で例として紹介した公式に $\pi$ や $\sqrt{\pi}$ が出て来る理由は$$B(1/2.1/2)=\pi$$およびそれと同値なGauss積分の公式 $$\Gamma(1/2)=\sqrt\pi.$$ここで$$
\Gamma(1/2)=\int_{-\infty}^\infty e^{-x^2}\,dx,\\
B(1/2,1/2)=\Gamma(1/2)^2
$$に注意。

mathtod.online/@genkuroki/1333
mathtod.online/@genkuroki/1336

で解説した事柄を、大学1~2年生レベルの解析学のネタを多数収録した解説ノート

github.com/genkuroki/Stirling

に収録しておきました。

もちろん、mathtodonも引用してあります。

本や論文の謝辞に mathtodon という謎の文字列が現れる日も近いかも。

Sign in to participate in the conversation
Mathtodon

A Mastodon instance named Mathtodon, where you can post toots with beautiful mathematical formulae in TeX/LaTeX style.