mathtod.online/@miyu/2763576

Bernoulli数の定義は
$$
\frac{z}{e^z-1}=\sum_{k=0}^\infty B_k \frac{z^k}{k!}
$$としておいても、どこでも困らないようにできます。

この母函数の左辺は $[0,1]$ 上の一様分布のモーメント母函数の逆数にちょうどなっているので、別のものには変え難い感じ。
$$
\int_0^1 e^{zt} dt = \frac{e^z-1}{z}.
$$

続く

どこでも困らないようにするためには、Bernoulli数の一般化であるBernoulli多項式を
$$
\frac{z e^{xz}}{e^z-1} = \sum_{k=0}^\infty B_k(x)\frac{z^k}{k!}
$$で定義して使った方が色々すっきりします。$B_1$ の2通りの流儀は $B_1(0)$ と $B_1(1)$ の違いに過ぎません。

Hurwitzのゼータ函数
$$
\zeta(s,x) = \sum_{k=0}^\infty \frac{1}{(x+k)^s}
$$は、0以上の整数 $m$ について
$$
\zeta(-m,x) = -\frac{B_m(x)}{m+1}
$$を満たしています。これの $x=1$ の場合がRiemannのゼータ函数の特殊値の場合です。

「Riemannゼータの特殊値にはBernoulli多項式の $x=1$ での特殊値が出て来る」と言えば、Hurwitzゼータにそのまま一般化できます。RiemannゼータもHurwitzゼータまで一般化しておいた方がお得。

実際にはHurwitzゼータへの一般化は函数等式の視点から見ると中途半端です。Hurwitzゼータへの函数等式にはポリログが出て来るので、Hurwitzゼータとポリログの両方の同時一般化であるLerchのゼータ函数
$$
L(\tau,x,s) = \sum_{k=0}^\infty \frac{e^{2\pi ik\tau}}{(x+k)^s}
$$まで一般化しておきたい。レルヒのゼータ函数の範囲内で函数等式を閉じた形で書けます。

数式処理ソフトで計算させるとこれと本質的に同じレルヒの超越函数
$$
\Phi(z,s,x)=\sum_{k=0}^\infty \frac{z^k}{(x+k)^s}
$$を使った答えがよく返って来ます。結構ぎょっとする。

以上の話題については

nbviewer.jupyter.org/github/ge

nbviewer.jupyter.org/github/ge

の2.10節を参照。

ベルヌイ多項式を知っていれば冪乗和を綺麗に理解できます。ベルヌイ多項式は
$$
\int_x^{x+1} B_k(t)\,dt = x^k
$$という条件で一意的に特徴付けられて、さらに
$$
\frac{d}{dx}B_k(x) = k B_{k-1}(x)
$$も容易に示せます。これより、$b-a$ が非負の整数ならば
$$
\sum_{x=a}^{b-1} x^k = \int_a^b B_k(x)\,dx = \frac{B_{k+1}(b)-B_{k+1}(a)}{k+1}.
$$この公式は
$$
\int_a^b x^k \,dx = \frac{b^{k+1}-a^{k+1}}{k+1}
$$の類似になっています。ベルヌイ多項式は和と積分を繋げる働きを持っています。

多項式函数を多項式函数に対応させる写像
$$
f(x)\mapsto \int_x^{x+1} f(t)\,dt = \int_0^1 f(x+y)\,dy
$$は多項式函数全体の空間の線形自己同型になっています。この写像による $x^k$ の逆像がベルヌイ多項式 $B_k(x)$。線形同型で対応していてかつ対応が $d/dx$ や平行移動 $f(x)\mapsto f(x+a)$ と可換であることから、 $x^k$ 達が満たす関係式をベルヌイ多項式が自明に満たしていることもすぐにわかる。
$$
\frac{d}{dx}B_k(x) = k B_{k-1}(x), \\
B_k(x+a) = \sum_{i=0}^k \binom{k}{i} a^{k-i} B_i(x).
$$

mathtod.online/@genkuroki/2811

訂正:フルヴィッツゼータの0以下の整数での特殊値の公式で $B_{m+1}(x)$ と書くべきところが $B_m(x)$ になっていた。

$\displaystyle \frac{d}{dx}\frac{B_{m+1}(x)}{m+1}=B_m(x)$ となっているので、間違ってはいけなかった。

正しい公式:
$$
\zeta(-m,x) = -\frac{B_{m+1}(x)}{m+1}
$$
$m$ を $m-1$ で置き換えると
$$
\zeta(1-m,x) = -\frac{B_m(x)}{m}
$$となり、置き換える代わりに $x$ で微分すると $\zeta_x(s,x)=-s\zeta(s+1,x)$ より
$$
m\zeta(1-m,x)=-B_m(x)
$$となって $m$ を $m-1$ で置き換えた式と同値な式が得られる、両辺の整合性が取れていることがわかります。

もしもベルヌイ多項式 $B_k(x)$ の $k$ を連続的に拡張できるなら、
$$
\zeta(1-s,x) = -\frac{B_s(x)}{s}
$$と書きたくなります。フルヴィッツのゼータの $-1$ 倍は
$$
\frac{B_k(x)}{k}=\int B_{k-1}(x)\,dx + C
$$の $k$ を連続的に拡張したものともみなせます。

一方、$\zeta(1-s,x)$ をポリログ $\operatorname{Li}_s(z)$ で書くフルヴィッツの函数等式があります。ポリログはフーリエ級数の形をしており、その公式の $s$ を0以上の整数に制限すればよく知られているベルヌイ多項式のフーリエ級数表示と同じ公式が得られます。

genkuroki.github.io/documents/

このようにベルヌイ多項式は本質的にフルヴィッツゼータであり、ゼータは基本的なのでベルヌイ多項式も基本的。

mathtod.online/media/-yfzl8OZK

$B_1(x)=x-1/2$ を 0~1区間に制限したものを周期的に拡張して得られる周期函数(みんな知っているノコギリ波)のフーリエ展開は本質的にポアソンの和公式そのものになります。

それを通してオイラー・マクローリンの和公式とポアソンの和公式の関係を理解することができます。

この辺の話も普通に教科書に書いてあるべきなのですが、見つからない。

nbviewer.jupyter.org/github/ge mathtod.online/media/0LJLmb29Q

若いときには最新の話題ばかりに目が向いて古典的で基礎的な話題に疎くなってしまう危険性があります。

私が若いときには、年上の人達に古典的話題の基礎的な事柄についてよく教わりました。
昔のwell-knownな話も結構大事。

フルヴィッツのゼータ $\zeta(-k,x)$ の $-1$ 倍が本質的に冪乗和を意味する
$$
\frac{B_{k+1}(x)}{k+1}=\int B_k(x)\,dx+C
$$に一致することは、
$$
\zeta(-k,x)=x^k+(x+1)^k+(x+2)^k+\cdots
$$であることから、
$$
\zeta(-k,x)-\zeta(-k,x+n)\\=x^k+(x+1)^k+\cdots+(x+n-1)^k
$$となることを見れば当然に見えるようになります。これの右辺は
$$
-\frac{B_{k+1}(x)}{k+1} -\left(-\frac{B_{k+1}(x+n)}{k+1}\right)
$$に当然一致する。これを $n$ の多項式とみたときの係数はベルヌイ多項式に関する既出の二項定理
$$
B_n(x+a)=\sum_{k=0}^n\binom{n}{k}B_k(x)a^{n-k}
$$から得られます。

以上の議論はRiemannゼータだけを見ても見えて来ないです。パラメータ $x$ を増やしてHurwitzゼータを考えたことが本質的。

ベルヌイ多項式に関する二項定理は「自明である」という認識は大事です。20世紀的な抽象数学のチカラによって自明になっている。

多項式全体の空間の線形自己同型
$$
f(x)\mapsto \int_0^1 f(x+y)\,dy
$$が平行移動 $f(x)\mapsto f(x+a)$ と可換なことから、ベルヌイ多項式の二項定理は自明になる。$B_k(x)$ はこの線形自己同型による $x_k$ の逆像。

線形代数から始まる抽象代数では、線形写像、同型写像、準同型写像、などなどが基本的な役割を果たします。

そういう抽象的な考え方は、具体的な公式の証明を瞬殺するためによく使われています。

圏論まで抽象化しても同じことが言えます。

そして、逆に、どれだけ難しい公式の証明に役に立ったかを見て、初めて「その抽象化にどの程度の価値があるか」も広く認識されることになる。

数学の専門家のあいだでは、全部の抽象化に十分な価値があるわけではないと考える人の方が多いと思う。

良い抽象化を見付けるためには膨大な試行錯誤が必要。

ベルヌイ多項式の母函数
$$
B(x,t) = \frac{te^{xt}}{e^t-1}
$$とフルヴィッツゼータ
$$
\zeta(s,x)=\sum_{k=0}^\infty \frac{1}{(x+k)^s}
$$の関係は、後者に
$$
\frac{1}{(x+k)^s} = \frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^\infty e^{-(x+k)t}t^{s-1}\,dt
$$を代入して、無限和と積分を交換すえればわかります。
$$
\zeta(s,x)=\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^\infty \frac{e^{-xt}t^{s-1}\,dt}{1-e^{-t}}
\\ =
\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^\infty\frac{-te^{x(-t)}}{e^{-t}-1}t^{t-2}\,dt
\\ =
\frac{1}{\Gamma(s)}\int_0^\infty B(x,-t)t^{s-2}\,dt.
$$
注意: $B(x,-t)=B(1-x,t)$ の右辺を使ってもよい。

$B(x,t)$ ではなく、
$$
B(x,-t) = \sum_{k=0}^\infty (-1)^k B_k(x)\frac{t^k}{k!}
$$ になっている点が気になる人もいるかもしれませんが、$\zeta(-k,x)$ の計算時には、
$$
\frac{1}{\Gamma(s)(s+k)}=\frac{s(s+1)\cdots(s+k-1)}{\Gamma(s+k+1)}
$$が $s=-k$ のとき $(-1)^k k!$ になって、$(-1)^{k+1}B_{k+1}(x)/(k+1)!$ との積で $-B_{k+1}(x)/(k+1)$ が残る仕組みになっています。

この辺は他人の話を聞いても納得できる類の話じゃなくて、全部自分で計算すればわかる話です。

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まとめ:フルヴィッツのゼータ函数は本質的にベルヌイ多項式の母函数(の $t$ を $-t$ で置き換えたもの)のメリン変換。リーマンのゼータ函数は $x=1$ と置いた場合。

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