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mathtod.online/@Ansatz/411743

等重率の原理(等確率の原理)はすべての状態 $i$ が同じ確率で実現するという仮定です。

その仮定を「状態 $i$ が確率 $q_i$ で実現する」に弱めても、カノニカル分布を導く仕組みはそのまま成立しています。

その結果現われるカノニカル分布は次の形なります。$$
p_i(\beta) = \frac{e^{-\beta E_i}q_i}{Z(\beta)}, \\
Z(\beta)=\sum_i e^{-\beta E_i}q_i.
$$この形の分布は統計学では「指数型分布族」と呼ばれていて「特別に簡単でよく出て来る分布」という役目を果たしています。

導出の解説は次のリンク先のノートの第7.3節にあります。(議論の流れは本質的に田崎さんの本のコピペです。)

genkuroki.github.io/documents/

ネットで検索すると物理学者が書いたものでは「大偏差原理」の意味が狭くなっているケースがあるのでググって勉強している人は要注意。

カノニカル分布は物理的に大偏差原理を仮定することによって導かれます。

仮定ではなく、結論として大偏差原理が得られる場合があって、その最も易しい場合が確率論(もしくは情報理論)におけるSanovの定理とCramerの定理です。

あと、離散分布ではなく、連続分布の場合に、等重率の原理を仮定しない場合のカノニカル分布の形は次になります。$$
p(x|\beta)=\frac{e^{-\beta_i E(x)}q(x)}{Z(\beta)},\\
Z(\beta) = \int e^{-\beta E(x)}q(x)\,dx.
$$この形の分布を「指数型分布族」と呼ぶ。逆温度 $\beta$ が分布を決めるパラメーター。

統計学ではパラメーターが複数個の場合が普通なので、実際には逆温度にあたるものを複数個に増やさなければいけません。

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たとえば、十分大きな人数が一定でお金の総量も一定という条件の下で、お金をランダムにやりとりさせると、統計力学から次のようになることがわかります。

代表的個人が保有するお金の量 $x$ の確率密度函数は$$
p(x|T)=\frac{e^{-x/T}}{T}
$$の形になる。絶対温度 $T$ は代表的個人が保有するお金の期待値に等しい。これは「指数分布」です。

さらに代表的個人の効用 $\log x$ の期待値が(小さ過ぎない)一定の値以上になるという条件も課して、ランダムにお金のやりとりをさせると、代表的個人が保有するお金の量 $x$ の確率密度函数は$$
p(x|\theta,k)=\frac{e^{-x/\theta+(k-1)\log x}}{\Gamma(k)\theta^k}
$$に変わります。これはガンマ分布と呼ばれており、指数分布よりも「平等」に近い分布になります。

指数分布やガンマ分布は正規分布などと共に代表的な指数型分布族です。

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統計力学を学ぶときに、他の統計諸科学との関係も明瞭にしつつ勉強すると、他のどの分野に行っても通用する教養が身に付くと思います。

統計力学的な温度の概念と直観は結構有用だと思う。

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